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『なつやすみの巨匠』の中島良監督にインタビュー/最新作『兄友』公開☆ – ひと - Tessalit- tessalit.info

『なつやすみの巨匠』の中島良監督にインタビュー/最新作『兄友』公開☆

2015年夏に公開された映画『なつやすみの巨匠』。福岡・能古島を舞台にした同作品は、単館上映としては異例となる2か月ロングラン、7000人を超える観客動員を記録し、いまでも毎年夏になると日本各地で上映会が開かれています。

その『なつやすみの巨匠』を手がけた中島良監督の最新作『兄友』が、6月30日(土)よりJR博多シティ9階のT・ジョイ博多にて上映されます。

今回は、中島良監督に直撃インタビュー。映画『兄友』の見どころや福岡の街への思いについて語っていただきました。

―まずは『兄友』のストーリーについて教えてください。

ひとことでいうと、恋にオクテな高校生カップルが主人公の学園恋愛ストーリー。キスの仕方どころか手のつなぎ方もわからない二人の “ウブな” 恋愛をコメディタッチで描いています。

―作品づくりにあたって “ねらい” のようなものはありましたか?

「カッコいい恋愛」「憧れの恋愛」ではなく「不器用な恋愛」を描こうと思いました。
人と話したりニュースを見たりして何となく思うのは、自分で恋愛のハードルを上げている人が意外と多いのではないか、ということ。
そういう思いもあり、この作品では、正直な気持ちで互いに向き合うこと、純粋な気持ちで互いに接することの大切さを伝えたいですね。

―中島監督といえば、デビュー作の『俺たちの世界』、それに続く『RISE UP』や『なつやすみの巨匠』など、社会の矛盾や問題を鋭く描く “社会派の映画監督” というイメージがありましたが、最新作がラブコメディと伺って、ちょっと意外でした。

人の生き方自体に「こうあるべき」というものはなくて、自分らしく生きることが大事。この考え方は私の全ての作品に通じるところだと思います。
さきほどお話したように、そうした意味では、『兄友』は私にとってことさら特別な作品というわけではありません。

―ずばり、「一番こだわったシーン」はどのような場面ですか?

ネタばれしても構わないと思っているので、言っちゃいますが、ラストのキスシーンですね。
キャストやスタッフと何度も話し合って、その “音” にこだわりました。その究極の響きは、ぜひ劇場にてお確かめください。笑

―東京などではすでに5月から上映が行われています。

上映中に客席から声援やどよめきが起こったという話を聞きました。原作が少女漫画雑誌に連載中の人気コミックスということもあり、小中学生のお客さんが多く、映画館にほとんど足を運んだことがないので黙って映画を見るという習慣がなかったのでは、という気がする一方で、そういう世代こそ「映画館に行って大勢で映画を観る楽しさ」を感じているのでは、という印象も受けました。
先日、ドイツのデュッセルドルフの映画祭で『なつやすみの巨匠』が上映され、私も現地へ行ってきたのですが、お客さんが上映中に喜怒哀楽の感情を露わにするので、とても驚きました。

―いま、お話にあがったドイツの映画祭というのはどのようなものだったのですか?

ドイツの人たちに日本映画の素晴らしさを伝える目的で、在デュッセルドルフ日本国総領事館・デュッセルドルフ映画博物館・国際交流基金などが主催する「デュッセルドルフ日本映画週間」というもので、2007年に第1回が開催され、今回が12回目の開催。黒澤明監督の『七人の侍』や宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』、片渕須直監督の『この世界の片隅に』などと並んで『なつやすみの巨匠』が上映され、とても光栄に思いました。
ドイツは移民が多い国なので、お客さんの人種も多種多様。上映のあとにトークショーを行ったのですが、たくさんの質問が飛び、とても盛り上がりました。
『なつやすみの巨匠』は今後、国際交流基金のサポートでイランやルーマニアでも放映されることになっています。世界中の人に見てもらえるなんて、なんだかドキドキしますね。

―中島監督は『なつやすみの巨匠』の撮影を機に東京から福岡へ移住してこられたそうですが、福岡での生活はいかがでしょうか?

福岡に自宅を移して3年半になります。東京での仕事も多いので、月に20日くらいは東京にいて、福岡に戻って10日くらいを過ごす、というペースで生活していますが、「福岡の住みやすさ」と「東京の住みにくさ」を肌で感じていますね。私が住んでいる西新から百道浜にかけては公園や緑地、腰かけられる花壇やベンチがいたるところにあり、少し自転車を走らせれば美しい砂浜が広がっているという、とても贅沢な場所です。その一方で東京は自分の居場所が「家」か「職場」かの二択のような感じで、別の居場所を手に入れるには高いお金を払わないといけない、という印象ですね。
これから福岡でのストレスフリーな生活の中でどのような作品が生まれるのか、自分でも楽しみです。

―福岡ではどのような活動をされているのですか?

モーションキャプチャーで踊りと芝居を撮影し、iPadで作曲した音楽を使ったオリジナルアニメを制作するという、こども向けのワークショップを各地で実施しています。
このワークショップのなかで気がついたことなのですが、日本の画一的な教育制度のせいなのか、自分で表現するということが苦手なこどもがとても多いんですよね。「自由にやっていいよ」と言われると、逆に戸惑ってしまう…という。
ただ、発見もあって、リハーサルのとき一番消極的だった子が、本番になったとたんビックリするような演技をすることがあるんです。リハーサルの時間は彼なり、彼女なりに考えていたんですね。すぐに何でもできることが大事なのではなくて、失敗や悩みから何かを見出そうとする姿勢が大事なのだと私の方が教えてもらいました。

―最後に、これから撮ってみたい作品はありますか?

数年前に取材させていただいた「福岡マラソン」を題材にした作品を作りたいですね。実際にこの目で市民ランナーの皆さんが42.195kmの過酷な道のりに挑戦する姿を見せていただき、「人間いつでもチャレンジできる!」「年齢はただの数字に過ぎない!」ということを強く感じました。また今年の「釜山国際映画祭」の企画コンペに糸島と釜山を舞台にした作品を応募しています。ぜひ制作・上映が実現できたらと思っています。

―本日はたくさんのお話をありがとうございました。中島監督の今後のご活躍を心から期待しています。

取材・構成:西山健太郎(福博ツナグ文藝社)

※情報は2018.6.29時点のものです

西山健太郎

1978年福岡市生まれ。2017年2月、樋口一幸氏(Bar Higuchi店主、ウイスキートーク福岡・実行委員長)とともに、福岡の飲食文化・芸術文化に関する情報発信を行う非営利団体「福博ツナグ文藝社」を設立。西日本新聞社のアート情報サイト・ARTNE(アルトネ)でのアートイベントレポート・若手アーティストインタビューやリビング福岡ウェブサイトでの“福岡の美しい日常風景”をテーマにした写真コラム「福岡風景/Fukuoka View」の連載など、独自の切り口で情報発信を続けている。

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