竹明かりともる博多のゲストハウス 脱サラオーナーらが手作り

  • 2019.3.18

【竹明かりのともる『Hostel FUTAGI』のロビーに立つオーナーの二木さん】

 福岡市博多区の下町・美野島商店街からすぐの場所にある「Hostel FUTAGI」。 オーナーの二木(ふたぎ)俊彦さんは旅行が趣味で、これまで世界52ヵ国、100軒以上のゲストハウスやホステルに宿泊しました。

 この経験を生かして、旅行者が楽しめる空間を共有したいと、脱サラしてゲストハウスを設立しました。立ち上げの際はクラウドファンディングを活用。終わった後に実感した、感慨深い気づきがあったそうです。

31歳、仕事を辞めて世界一周へ

 つい3年前までは、全く別業界の営業マンでした。
「大学卒業後は食品関係の企業で、ごくごく普通の、旅行好きのサラリーマンをしていましたよ」と話す二木さんの転機となったのは?

 31歳の時に「人生は一度きり」と一念発起して退職し、出掛けた世界一周の旅でした。「その時に人生を変える何かが起こったわけではなく、帰国後に縁がつながった感じですね」

未知の福岡 「旅」を起点に増えた仲間

 世界一周をした後、二木さんは再びサラリーマンに。北海道から福岡へ赴任したものの、友達も親戚もおらず、知り合いは同僚だけ。そんな二木さんを取り巻く環境は、「旅の仲間」をきっかけに瞬く間に変わっていくのです。

 「世界一周していた時の仲間から、『本を出すから寄稿してみないか』と声がかかったんです。その出版記念パーティーで、福岡のトークライブに参加させてもらいました。その2次会で、『福岡は旅行関係の情報が出回っていないのが不便』という声が多くて、旅のサークルを作ることにしました」

 そこで立ち上げたのが「+SPICE」というサークル。月に1回、飲み会のノリで旅の話をして楽しむイベントを2年間行い、徐々にメンバーが増え、最終的には60人規模になりました。

 1人で福岡にやってきた二木さんの周りには、気づけば「旅」を共通点に大勢の仲間が集まり、常に情報や楽しさをシェアする環境になっていたのです。

 「『+SPICE』の参加者がずいぶん増えたので、思い切って一軒家を借りて、シェアハウス兼イベント会場にすることにしました」と二木さん。3階建ての古民家を購入し、シェアハウスを展開しながら、継続的に「+SPICE」のイベントも開催しています。

 2年ほどたった2015年にシェアハウスをゲストハウスに切り替える決意をしました。そこで活用したのが、クラウドファンディングです。

 「クラウドファンディングを使った理由は資金調達とPRのためです。少しでも準備資金があったらいいなと思いましたし、宣伝効果も期待できるだろうと。リターンを宿泊券にできるし、成功したらとても良いものになると予感していました」


【デザインに沿って、竹に一つひとつ穴を彫り、くりぬいていく。手間のかかる大変な作業】

クラウドファンディングがもたらした支援の相乗効果

 ゲストハウスを日本人にも外国人にも喜ばれる空間にしたいと、二木さんは、熊本県の竹明かり演出家「CHIKAKEN(ちかけん)」の監修で、館内に竹の空間装飾を施しました。デザインは「CHIKAKEN」に依頼し、竹細工を作るのは自分たち。とにかく大勢のボランティアが必要でした。

 そんなとき、クラウドファンディングの支援者が竹明かりの制作計画を知り、ボランティアを買って出てくれたのです。また逆に、制作ボランティアがクラウドファンディングを知って、資金を提供してくれました。

 クラウドファンディングと竹明かりの制作現場がクロスするように、支援の輪が広がりました。

 ただ、思った以上に大変だったという苦労のエピソードも。「竹明かりの制作、ゲストハウスの内装工事、クラウドファンディング。三つとも同時進行で、すべて私1人で回していたので、手が足りずにてんやわんやでしたね。また、100万円の目標金額がなかなか集まらず、想像より1/3ぐらいの手応え。FacebookやLINEを使って資金提供の呼びかけを続けて、何とか到達しました」

 

「旅のだいごみ」が詰まった場所に

 「ゲストハウスの立ち上げ最中は必死すぎて気づきませんでしたが、宿が完成して、落ち着いた頃によくよく振り返ったら、クラウドファンディングの支援者、そして竹明かりのボランティアのほとんどが『+SPICE』の仲間だったんです。そもそも旅にまつわる情報発信地となるために、そして人々に刺激ときっかけを与えるために作った『Hostel FUTAGI』ですが、僕自身も旅が引き合わせてくれた仲間たちに支えてもらって、この場所を完成させられた。感慨深くてちょっと震えますよね」

 「旅」が与えてくれたかけがえのない出会いとチャンス。それを一番体感している二木さんだからこそ、「Hostel FUTAGI」には旅のだいごみや情報がたっぷり詰め込まれています。人をわくわくさせる刺激、前向きな気持ちのヒント、おもしろい人々のコミュニティーを用意して、いろんなゲストをウエルカム精神で迎えているのです。

Hakata Minoshima Hostel FUTAGI  二木 俊彦

 1978年生まれ、北海道札幌市出身。食品関係や医療機器の企業に勤務後、31歳で世界一周の旅を1年間行う。これまで52ヵ国訪問し、100施設以上のホステルやゲストハウスに宿泊。2017年に「Hakata Minoshima Hostel FUTAGI」開業。2018年冬に[email protected]を使った中古リサイクルの買取・販売のサービスを開始。

 

※情報は2019.3.18時点のものです

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