あなたが自分らしくいられる場所はどこですか?映画『レディ・バード』

【反抗期(はんこうき)】

自我の発達過程において、周囲のものに対して否定的・反抗的態度が強く表れる時期。自我が発達してくる三、四歳頃のそれを第一反抗期、自我の独立を求める青年期初期のそれを第二反抗期という。

――「大辞林第三版」より

映画『レディ・バード』は、カリフォルニア州の地方都市・サクラメントを舞台に繰り広げられる、爽快で甘酸っぱい青春ストーリーです。

主人公は17歳の女子高生クリスティン。自らの名を “レディ・バード” と自称する彼女が目指すのは「カッコいい大人」。看護婦の母、失業中の父、そしてスーパーでレジ係として働く兄。彼女にとっては、その家族が皆「ダサい大人」に見えてしまいます。

生まれ育ったサクラメントの町にも魅力や刺激が足りないと感じており、彼女は母親が勧める地元の大学ではなく、ニューヨークの大学への進学を希望し、両親を困らせるのでした・・・。

大人への反抗、異性への意識、事物が思い通りにならないことへの苛立ち・・・。

そうした誰しもが経験してきた「17歳」の日々が、“レディ・バード” の破天荒なスクールライフと重なり合ってスクリーンに映し出され、場面が展開するにつれて、見る者の心の中に静かな共感が生まれていきます。

主人公 “レディ・バード” を演じるのは、圧倒的な存在感を放つ若き実力派女優、シアーシャ・ローナン。彼女の遠くを見つめるまなざしが印象的です。

キラキラと、ときにギラギラと光るその視線の先にあるものは、いまだ見えぬ夢なのか希望なのか。

そのまなざしに触れ、目の前のことばかりに気を取られ、遠くを見ることを忘れていた自分に気づかされます。

家族や友人たちに愛されながらエネルギッシュな生活を送る17歳の女子高生 “レディ・バード” の物語は、印象的なエンディングシーンで幕を閉じます。

この世の中に、自分のことに涙を流してくれる人がいる、自分が戻る場所がある・・・

そんな何気ないことが、人が生きていくうえで、とても大切でかけがえのないものなのだということを気づかせてくれる注目作。ぜひ、劇場のスクリーンで味わっていただきたい作品です。

ライター:西山健太郎

■公式サイト:

※情報は2018.6.13時点のものです

西山健太郎

1978年福岡市生まれ。2017年2月、樋口一幸氏(Bar Higuchi店主、ウイスキートーク福岡・実行委員長)とともに、福岡の飲食文化・芸術文化に関する情報発信を行う非営利団体「福博ツナグ文藝社」を設立。西日本新聞社のアート情報サイト・ARTNE(アルトネ)でのアートイベントレポート・若手アーティストインタビューやリビング福岡ウェブサイトでの“福岡の美しい日常風景”をテーマにした写真コラム「福岡風景/Fukuoka View」の連載など、独自の切り口で情報発信を続けている。

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